この記事は2017年10月『ドクターズファイル』に取材頂いたものの抜粋です。
生活背景も踏まえて聞き重ね、丁寧に治療内容を伝える
―杉並区が先生の地元だと伺いました。だからこそ、こちらで開業されたのでしょうか。
ええ。私は生まれも育ちも杉並です。当院は私と副院長との2人体制で診療していますが、副院長も高校の頃から杉並区に住んでいたのです。当然ですが、地元だと土地勘があるので患者さんと会話も弾みますし、診療をしやすいのではないかと。それに、周辺には皮膚科や形成外科を標ぼうしているクリニックが多くはなく、地域の患者さんのニーズが高いのではないかと考え、またご要望に応えたいと思い、地元の杉並区で開院しました。
―診療時にはどんなことを心がけていらっしゃいますか?
じっくりとお話をお聞きすることを特に意識しています。特に、過去に他院で治療を受けたものの治らなかったという経験をお持ちの患者さんには、現在の症状や使っている薬のほか、食生活や化粧品などの生活背景も可能な範囲で尋ねるようにしています。化粧品を変えることで改善することもありますし、また薬の塗り方を変えることで効果が現れることもあります。薬を塗るタイミング一つとってもお風呂上りなのか寝る前なのかで違うこともあります。たとえ医師から過去に薬の使い方を言われたことがあっても患者さんがうまく理解していないこともありますから、患者さんの理解度も踏まえながら丁寧にお伝えすることを心がけています。
それぞれの専門性を生かしさまざまなニーズに応える
―形成外科がどんな診療を行うのかを知らない読者も多いと思います。簡単にご説明願えますか。
皮膚科が皮膚の内科とすると形成外科は、皮膚に関する外科だと言えば、イメージしやすいのではないでしょうか。皮膚の出来物、つまりほくろや粉瘤(ふんりゅう)、脂肪種などの皮膚、皮下の腫瘍を手術によって切除することを主にします。見た目をきれいに整えることを重視しているのは大きな特徴でしょう。形成外科は、細い血管や神経をはがしたり、皮膚の移動、皮膚の下で位置の調整、1ミリ以下の段差で傷を縫うなどの技術を駆使して、腫瘍を切除し、手術後の傷跡をきれいにすることを考えて手術ができると考えてます。手術以外にもやけどや傷を治療することも得意としています。
―ところで、先生はなぜ医師を志されたのですか?
父が形成外科の医師で、小さな頃から医師として働く父の後姿を見ていたことが大きかったように思います。父は大学病院で働いていて、家にいたとしても昼夜を問わずに病院から呼ばれ、忙しくしていました。その一方、患者さんからもとても感謝されていました。大きなやけどを負って20年以上にわたって父の治療を受けていた患者さんが父が他界した後に、お礼を言ってくれた姿はとても印象に残っています。医師という仕事への憧れが次第に高まっていったとともに、物を作ることが得意だった自分の性向も考えて東京医科大学に進みました。
些細な悩みも打ち明けてもらえる医師でありたい
―先生の話し方が独特だと思いました。患者さんから言われたことは?
よく言われます。自分ではよくわからないのですが、私の話し方は他の人に比べてゆったりとしているようです。でもその分、患者さんから「話しやすい」「ほっとする」と受け止められることも多くあります。医師によっては患者さんから自分の話し方を言及されて良い気持ちのしない人もいるかもしれませんが、私はむしろうれしく思いますね。患者さんと関係を築けているのかな、本心を打ち解けてくれているのかなと思えるので。皮膚のお悩みについては、患者さんが自分では気にしていても「人から見れば些細と思われるのでは」と思い、医師に打ち明けるのを遠慮をしてしまうことも考えられます。そんな時にも相談しやすい医師でありたいです。
―最後に、改めて読者にメッセージをお願いします。
冒頭でお話したように、皮膚に関することであればどんなことでも気軽にご相談いただけるとうれしいです。肌のかゆみや赤みを始め、乾燥肌やにきび、湿疹、かぶれ、水虫、アトピー性皮膚炎などはもちろん、ほくろや粉瘤、脂肪種、巻き爪、傷跡やケロイドなどに関しても対応しているのでご相談ください。できる限り見た目をきれいに整えることを考慮しながら治療を行っていきます。まだ開院したばかりですが、丁寧に診療を重ねていって、地域の患者さんが何か皮膚のことで気になることがあった時に真っ先に頭に浮かぶ存在になれるとうれしいです。